子育てに活きる!応用行動分析って…?
こんにちは!
理学療法士、保育士のゴンです!
今回は「応用行動分析」について考えてみたいと思います。
一見難しそうな字面ですが、子育てや保育に役立つ視点なのでぜひ取り入れて欲しいと思います!
ふとんクリーナーはレイコップ
医師として“アレルギー症状を根本的に予防できるようにしたい”そんな思いからレイコップが生まれました。
応用行動分析とは…?
応用行動分析学は英語ではApplied Behavior Analysis(ABA)となります。
人間の行動を個人と環境の相互作用の視点で分析し、色々な問題の解決に応用していく理論と実践の体系です。
応用行動分析の考え方は、教育や福祉、看護、リハビリテーションなど、色々なところで取り入れられています。
発達障がい児への療育にも応用されており、成果を上げていると言われています。
アメリカの研究では、自閉症児にABAの療育を行ったところ半数近くの子のIQが上がったという結果も出ているようです。
応用行動分析で何を目指す…?
療育として応用行動分析を行う場合には、いわゆる問題行動を減らして適切な方法が取れるようになった結果、本人が暮らしやすくなることを目指すといって良いでしょう。
問題行動とは、自分の学習等への参加が妨げられてしまうこと、自分や他者に危害を加える、行動を制限してしまうなどがあります。
例えば、
・特定の遊びばかりやりすぎて他の活動に参加できない
・気に入らないことがあると自傷したりお友達を叩いたりしてしまう
・家族が物音を立てると癇癪を起こすので、家族の行動が制限される
などが考えられます。
例に挙げたような事象が減る、なくなると、本人の生活の自由度が上がり、周囲の困りも解消されていくでしょう。
問題行動の原因って…?
問題行動の背景には4種類の原因があると考えられています。
○要求の実現
例えば、「おもちゃ売り場で騒いだらおもちゃを買ってもらえた」という経験をしたことにより「おもちゃ屋さんで騒げば買ってもらえるぞ」という考え方をしてしまっている場合です。
要求実現のために問題行動を起こしてしまっているパターンです。
○逃避と回避
嫌なことに遭遇した時、その刺激から逃れるためにするのが逃避です。
例えば、お友達に触られたから叩くなどです。
嫌なことが起きそうだから、その状況から逃れることを回避と言います。
例えば、学校に行くと勉強をしなきゃいけないから行かないなどです。
○注目引き
親や先生などから注目を集めるために行うことを言います。
例えば、大きな声を出して先生に見てもらうなどです。
○感覚刺激
刺激が少なく落ち着かなかったりする時に自己刺激を入れるのがこれに当たります。
例えば、教室でみんなが静かにしている時に机を叩くなどです。
どうやってやるの?
<基本的な考え方>
応用行動分析には”ABC”が重要です。
A:Antecedent = 行動の前の状況
B:Behavior = 行動
C:Consequence = 行動の結果
となります。
おもちゃ売り場での話で言うと、
A:おもちゃ売り場(に行った)
B:バタバタと騒いだ
C:オモチャを買ってもらえた
というようになります。
この中のAとCを変えることによってBが変わっていくことを期待する、というのが基本方針です。
<消去>
例えば、
オモチャ売り場で騒いだけどオモチャを買ってもらえなかった(Cを変更)
とすると
オモチャ売り場で騒ぐことが減るかもしれません。
このように問題行動を無視されたりしてご褒美がもらえないと、その行動は減っていきます。
これを「消去」と言います。
<強化>
そして、
オモチャ売り場で静かに買い物できたとします。
その時に「偉かったね!」「かっこよかったよ」などと褒めることを「強化」と言います。
また、褒め言葉やご褒美など、子どもにとって望ましい結果(C)のことを「強化子」と呼びます。
<実践例>
○子どもの情報
男子。保育園の年中。同じクラスの中では少し喋るのが苦手。話し始めるのは遅めだった。オモチャなど欲しいものがあると、口で言う前にとってしまいよくトラブルになる。
○改善したいところ
言葉で言うよりも先に行動してしまうこと。要求や許可を取れるようになってほしい。
○対応例
親子でブロック遊び中。
ママが積み上げていたブロックを子どもが黙って取ろうとした時に
ママ:「これママのだよ。どうしたの?」
子:「んー!」
ママ:「これ欲しかったの?」
子:「うん」
ママ:「なんて言うの?」
子:「…」
ママ:「これちょ…?」
子:「 これちょうだい!」
ママ:「うん!いいよ!かっこよくお願いできてえらいね!」ブロックを手渡す。
このような関わりを継続することで段々と言葉で要求・許可が取れるようになり、園でのトラブルも少なくなっていきました。
○分析
いつものように許可を取らずに人のオモチャを取ろうとした場面ですが、オモチャを取る前にママが話しかけて静止しました。
いつも通り黙って取れてしまうと望ましい活動にならないので、まずその行動を起こさせないのが基本です。
不適切な行動(オモチャをとる)を止めることができたら、次に会話の中で何をしたかったか確認し、どうしたら良いか考える時間を作りました。
オモチャが欲しかったことを確認した後、なんと要求したら良いか子どもに問いかけます。
どう要求したら良いか問われても子どもは「…」と黙ってしまったので、「これちょ…?」とヒントを出しました(「これちょ…?」は「これちょうだい」を途中で止めたもの)。
子どもが「これちょうだい!」と言葉で要求できたらすぐにオモチャを渡し、同時に大きく褒めます。子どもは褒められて嬉しかったので、この一連の行動が”強化”されました。
このママが上手だったのは
・ヒントが的確でタイミングが良かったこと
・大きく褒められて子どもが喜んだこと
です。
この”ヒント出し”と”強化子”の種類や強さ、タイミングが重要です。
子どもにとって分かりにくいヒントでは会話が進まないし教えすぎても子どもが考えない、言葉で褒められることが多く慣れてしまってあまり強化子になっていないなどとなってしまうともったいないです。
子どもとのやりとりの中でちょうど良い塩梅を探っていけるといいですね。
○ABC
これまでは
A:ブロック遊び
B:黙ってブロックを取る
C:使いたいブロックで遊べる
だったのが、
A:ブロック遊び
B:言葉で要求してブロックをもらう
C:使いたいブロックで遊べる 褒められる
に変化しました。
Bの行動の部分が変わるように大人が働きかけ、望ましい行動ができたら褒める(ご褒美)ことによりその望ましい行動が増えていく(強化される)、と言うのを狙っています。
まとめ
いかがだったでしょうか。
子育てや保育の中で自然とやっているという人もいれば、「この視点はなかったなぁ…」という方もいるのではないでしょうか(ゴンもあまりこの視点では見れていませんでした(´・_・`))。
ただ単に厳しくする甘くすると言うのではなく、良い行動を強化して不適切な行動を消去するという視点を持つと子どもは変わってきます。
できる範囲でやってみると子どもも大人も負担感が減ってきます!
心に余裕がある時は応用行動分析的な視点を持って子どもに接してみてくださいね♪
それでは、また!