子育て!PT・STのブログ

発達に悩みがあるお子さん、その親御さんに向けたブログです。医療、保育の専門職としての視点から書いています!

「歩く」を分析!歩行の徹底解剖

こんにちは!

 

理学療法士、保育士のゴンです!

 

今回は『歩行』、歩くことについて考えてみたいと思います。

 

大体の大人にとっては普通の『歩行』と言う運動が

・どのような要素で成り立っているのか

・その要素を子どもはどのように獲得していくのか

お話ししていきます。

 

また、よく出てくる専門用語の解説もしたいと思います。

 

専門用語を知ることで、理学療法士などの専門職がどのような視点で考えているかがわかりやすくなると思います。

 

ぜひ参考にして下さいね♪

 

 

 

では、説明に入ります!

 

 

 

歩行周期

 

片足に着目し、2歩分動くのを1歩行周期といいます。

 

右足が床につく〜床から離れる〜再び右足が床につく

で1歩行周期となります。

 

歩行周期は大きく2つ分けられます。立脚期と遊脚期です。

 

・立脚期

足が床につき、体重を支えている時のことです。

 

一般的には踵から床につき、つま先で床を蹴って遊脚期に入っていきます。

 

 

・遊脚期

足が床から離れている時のことです。

 

つま先で床を蹴った時から、再び足が床につくまでの期間です。

 

体幹に対して後方にある足が前方に移動してきます。

 

 

大人に比べ、歩くのが未熟なうちは遊脚期が短くなります。

 

テチテチと歩く小さな子を思い浮かべるとそうですよね。

 

逆に、

”遊脚期が長くなる=歩行が安定してきた”

と言うこともできます。

 

片足立ち

 

歩行を片足ずつ見たのが歩行周期ですが、

両足の関係性で見ると両脚支持期と片脚支持期で分けられます。

 

先の”歩行周期”でも示しているんですが、歩行中は片足立ちの時間(=片脚支持期)が長くなります。

 

歩行は短い両脚支持期と長い片脚支持期を繰り返す運動なので、片足立ちの安定性は非常に重要です。

 

両足で立っている時に比べ、片足立ちの時に求められる筋肉があります。

 

それは…お尻です。

 

特に中臀筋が重要です。

 

中臀筋はお尻の外側(横側)にある筋肉で、安定した片足立ちのために必要です。

 

片足立ちが安定することで歩行の安定性が高まったり、歩幅が広がって速く歩けるようになったりします。

 

 

子どもで考えてみると、片足立ちは2−3歳頃に獲得します。

 

2−3歳は歩行が安定してくる時期と重なり、だんだん走れるようにもなってきます。

 

 

中臀筋の他にも、抗重力筋(重力に対抗する筋肉)と言われる大臀筋(お尻)や大腿四頭筋(前もも)、下腿三頭筋(ふくらはぎ)などの筋肉や、足を振り出す腸腰筋(ちょうようきん)も歩くのに大切な筋肉です。

 

手の振り

 

歩く時って自然と手を振りますよね。

 

でも、振らなくても歩けるし「なんのために手を振って歩くの?」と思ったことがある方もいるかもしれません。

 

歩く時になぜ手を振るか?

 

それは、

効率よく歩くため

です。 

 

”効率よく”とは、使うエネルギーが少ない、疲れにくいとも言えます。

 

手を振ることで体の上下動が少なくなり、必要とするエネルギーも少なくて済むということも言われています。

 

他にも、手を大きく振ることで体のひねりも大きくなり、

・歩行が安定する→転びにくくなる

・歩幅が大きくなる→歩くのが速くなる

といった利点もあります。

 

※歩幅:一番開いた時の、前後方向での左右の足の距離。

 

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赤い矢印が歩幅です。

 



 

 

バランス

 

この項では専門用語を多く取り扱います。

 

知っておくと役立つことをまとめたので、ぜひ難しく捉えずお読み頂きたいです。

 

・支持基底面

 

以前このブログでも赤ちゃんから大人になるにつれ移動時の重心位置が高くなるとお伝えしました。

 

寝返りなら重心位置は床から数cm、歩く時の重心位置はおへその下くらいです。

 

重心位置が高くなるのと同時に支持基底面が小さくなっていきます。

 

支持基底面というのは、体と床が接している面が基本になります。

 

下の図では、立っている時の支持基底面を赤色で示しています。

(厳密には足の外側にはみ出ている部分は違います。編集技術が未熟ですみません…)

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支持基底面

 

支持基底面が小さくなるとその分バランスを取るのが難しくなります。

 

なので、小さい子や高齢者は左右の足を開いて立ち、支持基底面を広くとって安定させようとすることがあります。

 

左右の足を広げてテチテチと歩く子どものイメージ、あるのではないでしょうか。

 

・歩隔

 

すぐ上の文章で”足を広げて…”という言い方をしました。

 

その、足を広げた時の左右の足の距離が歩隔(ほかく)です。

 

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青い矢印が歩隔です。

 

歩き始めの子どもや、歩行が不安定な高齢者などは歩隔が広い傾向にあります。

(高齢者はつま先が外側に開いているので、ガニ股に見えることもあります。)

 

歩隔が広いことをワイドベースなんて言ったりもします。

 

歩隔が小さくなっていく≒歩行が安定していく

と捉えることもできます。

 

ちなみに、大人の平均歩隔は5−7cmで、男性の方が広くなっています。

 

 

 

・ストラテジー

 

立っている時にバランスをとる戦略(ストラテジー)のことを言います。

 

ヒップストラテジー(股関節)とアンクルストラテジー(足首)があります。

 

一般的に、若年者はアンクルで、高齢者はヒップが優位なんて言われています。

 

体のどの部位でバランスを取るか、誰しも戦略を持って運動をしているのです。

 

 

足の形

 

足の形が歩き方に影響することもあります(その逆もあります)。

 

扁平足や内反・外反、外反母趾など…たくさんあります。

 

 

変形が強い方は専用の靴を作った方がいい場合もあります。

 

足の変形だけでも長くなってしまうので、今回は書きませんが…

扁平足については過去記事をご参照ください。

 

kosodateptst.hatenablog.com

 

 

 

まとめ

 

以上、いかがだったでしょうか。

 

少しマニアックな内容になってしまったかもしれませんが、PTなどの専門職がどんなところを見て何を考えているか知るきっかけになれば嬉しいです!

 

わかりにくいところがあればご質問くださいね♪

 

 

それでは、また!