子育て!PT・STのブログ

発達に悩みがあるお子さん、その親御さんに向けたブログです。医療、保育の専門職としての視点から書いています!

歩き始めが遅い…どうしたら?

こんにちは!

 

理学療法士、保育士のゴンです!

 

 

今回のテーマは、歩き始めが遅い子についてです。

 

『同じ月齢の子はもう歩いてるのに、うちの子はまだ立ちもしない…。大丈夫かな?』

と思われる方、多いのではないでしょうか。

 

なかなか歩き始めない子をどのように捉えたらいいか、出来ることはないか、考えていきましょう。

 

 

正常発達

 

正常発達の月齢は平均的なものなので、1〜数ヶ月程度幅があります。

 

なので、『正常発達より1ヵ月遅れてる!どうしよう!?』なんて思う必要はありません。

 

立つ、歩くことの正常発達は以下の通りです。

 

 

 

<10ヵ月>

かまり立ち出来るようになる。

 

適した台や机などに手をついて立ち上がり、立った姿勢を保ててきます。

 

少し上手になると、伝い歩きもするようになります。

 

 

<1歳>

1人立ち出来るようになる。

 

つかまるものがなくても立てるようになってきます。

 

 

<1歳1ヵ月〜3ヵ月>

1人で歩けるようになる。

 

ものにつかまらず、自分の力だけで歩き始めます。

 

しかし、まだ不安定で転ぶことも多いです。

 

 

 

なぜ遅いのか?

 

歩き始めが遅れる原因は様々です。

 

身体面、知的面(知能)のいずれか、もしくは両方に問題がある可能性があります。

 

歩き始めが遅れる原因を身体、知的両面から考えていきます。

 

 

<身体面>

 

 ・首が座るのが遅かった

通常、生後4ヵ月頃には首が座ります(定頸)。

 

定頸が遅ければそれ以降の発達も遅れが出やすくなります。

 

なぜ定頸が遅れるか?

 

定頸は神経系の発達により起こります。

 

生後5−6ヵ月になっても定頸しない場合は神経系に問題があることも考えられるので、精査の対象となるかもしれません。

 

つまり、もし神経系に異常があり定頸が遅れていれば、その後の発達も遅れていくと考えられます。

 

低出生体重児(早産等含む)の場合は修正月齢で考える必要がありますので、在胎8ヵ月で生まれた子は生後6ヵ月(修正月齢4ヵ月)ごろ定頸していれば正常範囲ということになります。

 

・ハイハイをしなかった

 

ハイハイをほとんどしなかった、していたけどすぐ立ってハイハイしなくなった(立っていることの方が多くなった)。

そんな子も歩き始めが遅れることがあります。

 

なぜか?

 

それは、ハイハイ=体幹を鍛える機会が減るからです。

 

体幹の使い方が上手くないため、歩く(ひとりで立つ)のも難しくなります。

 

 

ハイハイはしない、つかまり立ちはするという子は体幹が弱いため、色々な問題が起こることもあります。

 

座れない(グラグラする)、歩けるようになったけどずっとフラフラしている、階段や坂の上り下りが苦手など…。

 

ハイハイは発達上、非常に重要な運動だと思うので、今後まとめてみたいと思います!

 

 

 

<精神面>

 

精神面、知的発達が運動発達に関連してくることも多いです。

 

前述のハイハイなどもそうですが、「神経的な問題がなければハイハイするんだよね?」と単純なものではありません。

 

 

私たち大人で考えてみましょう。

 

例えば、Aさんがやった事のないスキーを始めるとします。

 

スキーは未獲得の運動です。赤ちゃんにとっての”走る”と同じような感覚です。

 

「体は元気だし、練習すれば出来るよ」と友人は言いますが、

「寒いし、本当はやりたくないなぁ…」とAさん。

 

付き合いで年一回行くだけで出来るようになるでしょうか?

 

なりませんよね。

 

そう、大切なのは上手くなりたい、練習に行きたいという意欲です。

 

 

子どもの話に戻します。

 

「別にあんなオモチャで遊びたくもないしな」

「ママみたいに立とうとは思わないんだよなぁ」

と考える子が歩くようになるでしょうか?

 

かなり難しいと思います。

 

正常範囲の子であれば、「あのオモチャのところまで行きたい」、「パパ何見てるんだろ?ボクも立って見て見たいなぁ」という意欲により運動が惹起されます。

 

この意欲が出てこないということは、知的面の問題が考えられるということにつながります。

 

自閉傾向が強くオモチャに興味を示さない。

・感覚が鈍く、周囲の環境を捉えられないため、怖くて動きたくない。

・知的発達の遅れにより、周囲の環境に興味を持てない。

 

といったような場合が考えられます。

 

精神面での問題が運動発達に影響するとはどういうことか、お分かりいただけたでしょうか?

 

 

 

できることは?

 

歩行につながって、ご家庭でもできる工夫をご紹介します!

 

 

①ハイハイを促す

まだ座るのが安定しないお子さんはまずハイハイしましょう。

 

このようなオモチャを転がして追いかけてもらうといいですね!

 

 

また、「ハイハイは上手だけどなかなか立たない」という子には、枕やクッションなどで凸凹のコースを作りその上をハイハイしてもらいましょう!

 

コースを凸凹にすることで、手足にかかる体重が変化します。

 

グッと手に体重がかかることがあれば、ほぼ足だけで体重を支える瞬間も出てきます。

 

一時的にでも負荷が上がることで、立つときの練習になります。

 

 

②オモチャなどを少し高めに置く

オモチャを椅子の上に置いたりモビールを吊り下げたりなどして、子どもの目線が上がるようにします。

 

モビールってこんなのです↓ 

 

自分より上にあるものを見たい・触りたい

→寝たまま、座ったままじゃ触れない

→立ちたい

とつながっていきます。

 

子どもの”立ちたい”と言う意欲を育んでいきましょう。

 

 

 

③つかまり立ちできる台を置く

ハイハイしている子がいきなり歩き出すわけではありません。

 

上記で述べたように、ハイハイが安定してきてつかまり立ちができるようになり、そのうち1人で立てるようになります。

 

しっかりと段階を踏んでいくことが重要です。

 

かまり立ちしやすい高さの台や机を用意し、その上にオモチャを置くと立って楽しく遊べるかもしれませんね♪

 

台の高さはお子さんが立った時の骨盤〜お臍くらい(40−50cm)が良いと思いますが、高さが調節できる机も便利です。 

 

あとは、立ち上がる練習と立ったところから座る練習も出来るといいですね。

 

お子さんには台に向かって立ってもらい、必要に応じて背中側から支えてあげましょう。

 

 立つ、座るが1人で出来ないと歩行には繋がらないので、ぜひ頑張って練習してみましょう!

 

 

まとめ

 

いかがだったでしょうか。

 

手が上手く使えないから伝い歩きが出来ない→一人歩きできない

など、他にも要因はたくさんあると思います。

 

ですが、今回は頻度が高いものをさらっと紹介しました。

 

精神発達と運動発達のつながりについては、とても深い内容になると思いますのでまたまとめたいと思います!

 

 

歩き始めが数ヵ月遅れたからといって悲観的になる必要はありません。

 

また、歩き始めが遅くても適切な運動療法を受けることで、階段昇降や走行が出来るようになることも多いので、心配であれば療育機関にかかれると良いと思います。

 

 

子どもの「動きたい!」という意欲を引き出せるよう、たくさん遊んで、たくさん言葉をかけてあげましょう。

 

 

では、このへんで!